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高速道路 違反車両の検挙に「あの手・この手」
 制限速度で走る軽自動車やリミッター装着の大型トラックの間を縫うように、猛スピードで駆け抜ける普通乗用車や4トントラック。さまざまな速度で走行する車両が入り乱れる高速道路は、一歩間違えれば重大事故に直結する要因があふれている。車間距離と速度を守るだけで大幅に安全性は改善されるが、先を急ぐドライバーらの自覚は薄い。固定式で速度違反を監視するカメラの設置場所を知る運転者らは、その付近になれば減速するものの、その後は再び急加速する始末。最近では、各地の警察が重大事故の芽を摘むため、あの手・この手で違反車両を検挙しようとする必死の姿が見られる。

 山口県警では1昨年から、高速道路での車間距離保持に焦点を当てた取り締まりも強化してきた。「制限速度であっても、著しく車間を詰めた車両を発見した場合は検挙する」と担当官。走行しながら、またはトンネル出口にパトカーを止めて監視するなど、重大事故を未然に防ぐために努めてきた。

 一方、スピード監視にも従来の固定式カメラや覆面パトカーによる取り締まりに加え、“監視逃れ”に精通した違反ドライバーへの対抗策とも思えるような、あの手・この手の取り締まりに挑む姿も見られる。その1つを1月10日、岡山県内の山陽道下り線で発見した。

 トンネル入り口まで200メートルほど手前の中央分離帯に人影。さらに近づいて驚かされたが、その人影は警察官で、足元には一般道でのネズミ捕りで見かける速度カメラが置かれていた。さらに、トンネル直前に設けられた待避スペースにはパトカーが複数台止められていた。

 関係者に聞くと「想像されている通りのネズミ捕り」というが、取り締まる側も命がけの姿勢だ。「カメラで速度をキャッチして、後日に出頭を求めるケースも多いが、場合によっては違反車両の車番を通知し、待機しているパトカーが追尾することもある」とのこと。

 別の関係者によれば、「地域によって取り締まりの方法はさまざま」という。兵庫県ではトンネルの入り口・出口の双方の待避スペースにパトカーを配備し、入り口の車載オービスで速度を感知し、違反車両の情報を出口で待つパトカーに伝達。そこから追尾が始まるという方法もあるらしい。

 さらに、広島県では「ワンボックス型の警察車両に移動オービスを搭載し、スピード違反をチェックしている例もある」という。仮に速度超過を発見した場合は後方を走るパトカーに連絡を入れ、一気に追尾が開始されることになるようだ。

 「捕まえるのが仕事ではなく、未然に防ぐのが任務ではないのか」というのは、ネズミ捕りに捕まった経験者の大方の、ささやかな反発かもしれない。しかし、固定カメラの周辺だけを減速する“手馴れたドライバー”が少なくないのも事実で、「いつ・どこでスピード違反が見つかるかわからない」との心理を抱かせることは、おのずと速度抑制の意識を高めるのに一役買うのは確かだ。検挙逃れの策に頭を使うことなく、安全速度・車間距離に気を配りたいものだ。
                         
(06/01/27)
<記事提供:物流ウィークリー


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