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 法令順守「不適」が減少傾向 兵ト協まとめ
 法令が具体的に順守されているかを調査する巡回指導で、「点呼」や「乗務員への指導監督」といった項目で「不適」とされた事業所数が、減少傾向にあることが適正化事業実施機関(兵庫県トラック協会)の調べで分かった。

 景気後退が過当競争に拍車をかけることで法令順守がなおざりになっている。大方のそんな予想を覆す調査結果で、「悪い経済環境でも事業者が踏ん張っているのはすごいこと」(関係者)との見方ができる。

 兵ト協は、06年度から09年度までの4年間について、巡回指導結果をまとめた。資料は適正化事業自体を評価する外部の委員会向けに作られたものだ。

 資料によると、毎年度の巡回件数は最も少ない年(09年度)の564件から、最も多い年(08年度)の655件と、ばらつきは見られるものの、調査による判定が「不適」とされた事業所数を示す数値は、18ある調査項目の大半の項目で年を追うごとに減少していることが見て取れる。

 例えば、不適と判定された事業所数が毎年最も多い「点呼の実施及び記録・保存」の項目での不適事業所は、06年度で441件あったが、07年度397件、08年度387件、09年度368件と推移し、一貫して減少している。不適事業所が2番目に多い「乗務員に対する輸送の安全確保に必要な指導監督」の項目でも、06年291件、07年度212件、08年度210件、09年度200件と不適事業所が減少して推移している。

 また、「社会保険加入」の項目では、06年度178件、07年度113件、08年度69件、09年度48件で、4年間で4分の1程度にまで不適事業所が減少している。逆に、改善傾向とはいいがたい「労働時間の適正管理」(06年度147件、07年度103件、08年度113件、09年度123件)などの項目も散見される。

 兵ト協適正化事業部は「指導時に適切な資料を提示し、不適切な項目を説明するように努めてきた」と話し、「説明効果がここ数年で現れてきた側面があるのでは」と見ている。例えば、点呼ができていない事業所では「補助者」と呼ばれる準運行管理資格を紹介するように努めてきた。

 もっとも、不適事業所減少の要因としては、巡回件数そのものにばらつきがあることや、指導時のマニュアル運用面での意思統一がなされているかといった指摘もある。

 しかし、ある事業者は「指摘だけして終わりという姿勢は以前より改善されていると感じる」と話し、順守のための「改善提案」がなされていることを裏付ける証言もしている。

 また、「『生き抜くにはやらねばならない』と事業者が本気になっていることが数字に表れてきたのでは」と話す事業者もいる。

(10/09/10)


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