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 アルコールチェッカー選びで苦悩
 トラック協会では購入に際して補助制度を用意しているが、検知器の値段がピンキリという事情もあって商品選択に悩むトラック事業者の姿が見られる。

 一方、「データが蓄積されるなど管理面で優れる製品を買ったことが、かえって事業者の首を絞めかねない」と、検知器のタイプを選び切れないケースも散見される。国交省が「アルコールの数値がゼロでない限りは行政処分の対象になる」(安全政策課)との判断を示しているからだ。

 国交省によれば、「点呼時に飲酒チェッカーの使用・記録は義務付けるが、数値までは求めていない」(同)としており、検知器の購入に際しては呼気中のアルコール濃度を数値で示すタイプや、緑と赤の2色ランプで酒気帯びを警告する機種など事業者に選択の自由がある。

 各地のト協では補助制度の活用を呼び掛けており、「管理面の優位性を重視して記録タイプの上位機種を検討」する事業者や、トラックに携行させる必要があることから「とにかく数が必要で、安いもので対応しないとシンドイ」という声、「運用方法がはっきりしない」と、当面は簡易機種で様子見を決め込む事業者もある。

 一方、長距離輸送がメーンの広島市の運送会社は「数値が表示・記録される機種の場合、酒気帯びで処罰される基準(呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15ミリグラム以上)を下回っていても証拠は残る。数字がゼロでない限りは企業責任を問われそうだ」と不安視。いまも機種選びの決定打を欠く状況が続く。

 機種の選択には注文を付けていない国交省だが、こうした事業者の不安には「罰則・罰金の有無に関係なく、道交法では酒気を帯びて運転することを禁じている。貨物自動車運送事業法でも厳しく規制しており、そこでは数値を示していない。つまりゼロでない限りは行政処分の対象になる」と明快な判断を示唆。

 アルコール濃度の目安などの行政指針を求める声については、「製品規格が確立されていないうえ、『飲酒有無の判断基準にしないでください』と説明するメーカーもあって難しい」と話す。

 こうした事情から「むしろ数字が明示されない赤・緑ランプだけの検知器のほうがいいのではないか」「コンプライアンスの観点からは数値を把握し、乗務員に認識させることが重要」「事故で監査が入った際、『点呼時のアルコール数値がゼロではなかった』として処分点数が上乗せされるとすれば、事務所のパソコンには記録したくない」との声も聞かれるなど、現場で苦悩する運送関係者の姿は少なくない。

(10/07/23)


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