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どうなる性能基準?アルコール検知器
 国交省はアルコール検知器の使用を義務付けるため、貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する。21日まで募集していたパブリックコメントへの意見を踏まえ、3月に公布し、来年3月からの施行を予定。  

 この改正案が関係者の間で波紋を呼んでいる。  

 1月22日に発表された改正の概要は、営業所ごとに(アルコール)検知器の設置、出庫・帰庫時の点呼の際に目視や検知器での酒気帯びの確認、対面点呼が難しい場合の検知器の携帯など。  

 これは昨年3月にまとめられた「事業用自動車総合安全プラン2009」に沿うもので、同省では人身事故と事故死者数の半減と共に「飲酒運転ゼロ」を目標に掲げており、昨年10月には処分基準も大幅に強化している。  

 今後、すべての運送事業者がアルコール検知器を導入することになるが、検知器の性能基準については現段階では規定されていない。国交省自動車交通局では、「検知器の性能基準をどうするかも含めたパブリックコメントを募集している段階」としているが、ユーザーである運送事業者からは以前から検知器を購入する際の判断基準の明確化を求める声が出ていた。また、昨年10月に開催された安全プランのフォローアップ会議でも、性能などの基準設定への要望が出されていた。  

 今回の改正内容について検知器販社の部長は、「運送事業者に使用を義務付けるだけでも抑止効果があると国交省は考えているようで、おそらく性能基準までは設けないだろう」と予測。ただ、「検知器のセンサーが狂っていれば義務化の意味がなくなってしまうため、性能の問題よりも、検知器が正しく反応しているかどうかが重要と考えているはず」と付け加える。  

 別のメーカー関係者は、「性能の基準は明確にしてほしい。悪質な運送事業者が安価で性能の低い検知器を、あえて使用する可能性も否定できない」と指摘。また、「検知器で飲酒が分かった場合、そのドライバーは乗務できなくなるが、夜間や早朝に代わりのドライバーをすぐに手配できる事業者は少ないはず」で、「高性能の検知器は『自らの首を絞めることになりかねない』と考える経営者が出てくることも予想される」。実際に、「何でもいいから安い検知器を売ってくれ」という問い合わせも少なくないという。  

 前述の販社部長は、「常習性のあるドライバーは事故を起こして解雇されても、運送業界から退場せずに飲酒チェックが緩い会社、管理の甘い会社にどんどん流れていく。その結果、そういう会社は『飲酒運転ドライバーの吹き溜まり』となってしまう。飲酒で事故を起こしてしまえば、もっと大きな代償を会社が支払うことになることを経営者は理解してほしい」と警鐘を鳴らす。  

 事業用自動車の飲酒運転での違反取り締まり件数は平成20年に287件。「ドライバーのモラルに任せるしかない」という意見も多いが、業界全体で真摯に取り組むべき問題といえる。

(10/02/26)

<記事提供:物流ウィークリー


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