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勝北運送社長 「7円80銭」で孤軍奮闘 
 「おとなしくしていれば、いつまでも暫定増税分を取るという国の姿勢がオカシイ。挙げ句に税が余って(道路建設の目的税を)他所へ回すというのだから、それは許せるものではない」。岡山県で、今月8日に創業(運送免許取得)から丸半世紀を迎えた運送会社の社長が、軽油引取税の暫定増税分7円80銭の撤廃、もしくは一時凍結を求めて孤軍奮闘している。

  地元の同業社長を訪ね歩き、コツコツと集めた署名を手に過日、東京まで乗り込んだが、その数は約100社(店)分と、まだ少ない。「とりあえず来年3月まで署名集めに動き回るつもりだが、全国で同じような活動が起これば、きっと大きな力になるはずだ」と、全国の運送オーナーに呼び掛けたい思いを明かしている。

 岡山県北部で連日、7円80銭の撤廃・凍結をめざして署名活動に汗を流しているのは、満77歳を迎えている竹内昭三氏(勝北運送社長、津山市)。昭和30年に運送免許(当時)を取得、今月8日で丸半世紀という大きな節目を迎えた。岡ト協の勝英支部長を今春まで20年間務めたほか、旧勝北町の議会議長も平成13年から2年間務めるなど運送業界だけでなく、政治の世界にも詳しい人物。

 「予算編成を前に、広く国民の声を聞こうとするタイミングの7月、勝北町議となった際に党員となった公明党の地元の大先輩に燃料(軽油引取税)の問題を相談したのが最初だった」と竹内氏。それから直ちに東京へ向かい、同党の青年局次長を務める谷合正明氏に面会。その際には「暫定増税の期間が5年間なら(開始時の平成5年からの)最初の5年で打ち切らないといけない。なぜ、そうした行動を強く取らなかったのか」と問い返されたという。また、「『とにかく、できるだけ多くの署名を集めてきてください』といわれた」と竹内氏。この日は参議院に続き、衆議院も回った。

 岡山へ戻った竹内氏は「既存の交渉ルートでいけば時間もかかるし、ラチがあかない。まずは1人で動こうと考えた」と、署名集めに奔走したという。もっとも高齢の身で、かつ1人の頑張りに限界があるのも事実。「ありがたいことに、旧知の地元の同業社長や関係者の応援があって、ようやく形になってきた」と、およそ100通になった署名を手に10月24日、再び上京。谷合氏を経由して、同党の神崎武法代表あてに要望書を提出した。

 「『たくさん集めましたね』との声をもらったが、まだまだ足りないし、とにかく来年3月までは続ける。全国で同じ活動が起これば、それこそ大きな力になるはずだ」と竹内氏。ただ、「同業者ならご存知の方も多いと思うが、県内の運送社長で公明党は私1人のはず」。業界団体を挙げて支援するように、トラック運送業界の圧倒数が自民党寄りなのは確かだ。このところは民主党支持も増えているが、同氏が話すように公明党の支持者は少数派なのだろう。

 『公明党の世話になれば、選挙でお返ししないといけなくなる』と考える向きも少なくないかもしれない。それなら竹内氏の行動とは別に、自分の支持する政党もしくは、国会議員に接触すればいいこと。ナニ党だから…と、先に頭で考えることより行動が大切だ。業界団体が旗振り役となるトップダウン型の陳情を否定するわけではないが、苦しみを肌で感じる経営の現場から沸きあがってこそ心に訴える陳情行動になる思いも強い。

 竹内氏の訴えるポイントはあくまで7円80銭の撤廃だが、「上品な言い方をすれば一時凍結。状況が改善すれば再び払うというのに、それさえも聞いてくれないのか…ということ」と語気を強める。そのうえで、「軽油引取税は地方税だが、それは結果的に税金が県に入るという意味にほかならない。すべては国の指示であり、言い逃れはできない。我われ中小企業の経営者には逃げ道などない。死ぬか、生きるかだ。これまで耐えがたきを耐えてきて、このまま潰されてたまるものか」と、いわば『捨て身』の陳情活動を説明している。     
                         
(05/11/18)
<記事提供:物流ウィークリー


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