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 凸版印刷 ICタグで生産履歴を徹底管理
  湯沸かし器や暖房器具などを長年使い続けた結果、事故が発生し、数年前からメーカーによる「回収のお願い」の新聞広告やテレビCMを目にする機会が増えている。このような背景に基づき、住宅設備メーカーは「製品の安全」を確かなものにするために、生産履歴の管理と、販売後のトレーサビリティー体制を確立しようという動きが高まってきている。凸版印刷(東京都千代田区)とトッパン・コスモ(同港区)は、ICタグを活用し、この2つを実現するソリューションを開発した。

 システムが導入されたのは、TOTOブランドのシステムキッチンや洗面化粧台を生産しているTOTOハイリビング(千葉県茂原市)の茂原工場。ICタグを活用し、原材料の1つである「化粧板」の在庫状況を管理する。材料が入庫した際に、入荷日や品番、ロットナンバー、在庫枚数をタグに書き込み、倉庫に保管。材料が投入されると、返却時に残り枚数などのデータ書き換えを行う。タグ情報はデータベースと連携しており、リアルタイムでの在庫把握が可能だ。

 コスト面でのメリットも。ICビジネス本部RFIDソリューション部の成田康雄係長は、「正確な在庫管理により、適切な量を投入することができるため、在庫の削減が実現する」と説明する。また、「ICタグ表面の書き換えは500〜1000回程度可能。初期投資はかかるが、書き換えるごとに紙を一枚使うのに比べれば、タグを繰り返し使うことでコストメリットも出てくる」という。

 今後は在庫の把握だけでなく、生産工程にまで管理の範囲を拡大していく予定だという。これにより、「どの製品に、どの製造ロットの原材料を使ったのか」を確認できるトレーサビリティーが確立され万が一、製品事故が起こった際も、その後の回収や修理も迅速に対応することが可能になる。なお、09年4月からはメーカーに対し、指定製品について所有者情報を保有するよう求める「点検制度」が開始される。同係長は、「ゆくゆくは最終製品へのタグ貼付にまで発展させていきたい」と意気込む。

 同システムは9月に本格稼働した。導入効果をデータとして算出するには、まだ時間がかかるが、「現場からは良い評価をいただいている」。今後、TOTOハイリビングは国内の他工場にも導入を進めていく。また、凸版印刷は、同様のソリューションを住宅設備メーカー向けに展開していくという。

                    (08/10/10)
<記事提供:物流ウィークリー


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