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 大阪府流入車規制 戸惑う周辺の運送事業者
 大阪府の流入車規制条例が10月に可決されたことを受け、奈良県トラック協会は先に説明会を開催したが、同協会では同条例を「事業者生命にかかわる大きな問題」としてとらえている。

 「全国1厳しい排ガス規制」と言われる大阪府条例。これまで、国の自動車NOx・PM法とは別に首都圏や兵庫県でディーゼル車に対して規制が敷かれているが、大きな違いは、大阪府の規制は自動車NOx・PM法をそのまま準用している点だ。

 平成15年10月から開始された首都圏の流入車規制では、PM(粒子状物質)を対象とし、NOx(窒素酸化物)は対象外。そのため同法に適合しないトラックでもPM減少装置を装着すれば適合車とみなされ、他県からの流入は可能。

 平成16年10月から始まった兵庫県の条例では、自動車NOx・PM法に適合しない車でも、4t車や2t車は対象外。車両総重量8t以上の車両を対象としている。

 また、排ガス基準を満たしていない車についても、自動車NOx・PM法では、初度登録日から9年まで運行可能であるのに対し、兵庫県の条例は10年までとなっている。

 「NOx・PM低減装置」は存在する。大阪府の条例に適合しないトラックでも、国土交通省認定の装置を装着すれば、流入は可能。しかし、装着費用込みで、4t車で150万円前後、大型車で250万円前後と、かなり高価だ。また、ターボ車には非対応で、各メーカーとも原動機ごとに装置の認定を受ける必要があるため、装着可能な車種はかなり限定されているのが実情だ。そのため、不適合車両は代替えを余儀なくされる可能性が高い。

 今回の大阪府の条例成立について兵庫県の場合と異なるのは、業界団体からの働きかけが弱かった点が挙げられる。兵庫県の場合、当初、自動車NOx・PM法の対策地域と同じ地域を流入車規制地区と示されていたのを、近畿トラック協会や全日本トラック協会の働きかけで阪神南東部に縮小。また、規制対象車を大型車に限定させ、猶予期間も延長するなど、兵庫県に一定の譲歩をさせた。

 奈ト協によると、会員事業者の保有台数のうち、半数が不適合車。地場産業の薄い奈良県の事業者の大半は大阪を行き来しているとされ、「大阪府条例は死活問題」とする声は少なくない。説明会では、「施行までの期間が短い」との声が出席者から相次いだが、「5年後に全国一律で規制をかけてくれた方が、段取りがついて、そのほうがまし」と全国一律に自動車NOx・PM法の車種規制を敷くべきといった声も複数の事業者から聞かれた。

 東京都でも昨年9月、環境省に対して、「自動車NOx・PM法に基づく流入車対策の実施」を要望し、暗に全国一律規制を求めた経緯がある。環境省自動車環境対策課は「現在の自動車NOx・PM法の中でできる対策を、着実に施行していくだけ」と説明しており、全国一律規制については関心を持っていないのが実情だ。

                    (07/12/14)
<記事提供:物流ウィークリー


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