ニュース



 STS 『電気トラック』実用モデルが完成 
 環境対策に取り組む神奈川県の運送会社では、メーカーと開発してきたバッテリー電源と電気モーターで走行する「電気トラック」の実用モデルを完成させた。実用モデルが登場したことで「電気トラック」の可能性も広がってきた。

 走行中の排ガスと騒音がない「電気トラック」。このほど、神奈川県の運送会社エス・ティー・エス(篠崎正信社長、大和市)にて「電気トラック」実用モデル完成の記者会見が開かれた。記者会見には同社の篠崎勝則副社長、ギオン(神奈川県)の中原一輝社長、エジソンパワー(大分県)の山田敏雅社長、日本再生プログラム推進フォーラムの池田健三郎理事が出席した。

 昨年10月、エス・ティー・エスと電気自動車の開発製造を手がけるエジソンパワーは、日本再生プログラム推進フォーラムの仲立ちで、リチウムイオンバッテリー搭載の電気トラック実用化に向けた研究開発プロジェクトを開始。大分県の日本文理大学木本研究室の協力も得て開発を進めてきた。

 このほど開発したのは2トントラック(平成11年式いすゞエルフ)の電気自動車。車体からディーゼルエンジンを取り除き、電気モーターを載せ、電気モーターを駆動させるためにリチウムイオンバッテリーを搭載した「改造車」だ。

 業務用電気コンセント(200V)で8時間充電することで100キロメートルの走行が可能だという。最高速度は90キロで、通常のディーゼルエンジンと比較して遜色のない実用性を備えている。

 今回のモデル車は充電時間が8時間だが、エジソンパワー社が今夏に完成予定のナノ技術を活用したナノ・リチウムバッテリーを搭載すると、約20分の充電でも同様の性能が出せるようになるという。また、電気モーターはアメリカ製のAC回生モーターで、UPSの電気トラックで使用されているモーターと同じものを使用している。
 
 現段階では、同じ改造車を完成するためには1000万円程度のコストが必要。今後、改造車の量産体制の整備と部品類の単価引き下げなどのコスト削減を進めるとともに、行政の支援も期待されることから、800万円程度まで抑制することを見込んでいる。これにより、電気トラックを運送会社が導入した場合に、ディーゼル車に比肩するコストレベルに到達することが可能になるという。

 エス・ティー・エスの試算では、導入時にはディーゼル車のほうがコスト面で有利だが、5年間使用すると、ほぼ同じ運用コストになる。電気トラックの場合には、新車購入時の諸費用やエンジンのオイル交換費用が0円になる。また1キロメートルあたり走行時の電気代が約5円として、1日150キロメートルを走行する計算だと、1日の費用は750円になる。一方で軽油価格を1リットル100円として同じ走行距離で計算すると、5年間で燃料代と電気代の差額は337万5000円。オイル交換費用や諸費用を加えると、支払っているコストはほとんど変わらなくなるという。

  エス・ティー・エスの篠崎副社長は「法律でCO2排出量の報告義務などもあり、CO2をまったく出さないトラック輸送という点で、荷主企業からの理解も得られるのではないか」と話す。
 

                    (07/06/29)
<記事提供:物流ウィークリー


バックナンバー

HOME会社概要サービス内容会員規約Q&Aお問合せ
お申し込みリンク集最新ニュースプライバシーポリシー