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 ドライバー不足が深刻化 奪い合いの時代に
 ドライバー不足が深刻化してきている。

 首都圏の事業者は、今年に入って求人を続けているものの、反応はほとんどない状態だという。業界では平成19年に中型免許制度が施行された。これにより2トン車など一部を除いて、普通免許でトラックが運転できなくなった。トラックを運転するには新たに中型免許の取得が必要になった。これが、若者のトラック業界への参入を阻む壁として立ちはだかっているとの声もある。

 確かに、免許証1枚あればトラックに乗れるというきっかけを逸したことは事実で、ドライバー不足の一因になっているかもしれない。しかし、ことはそんな簡単なことではないようだ。

 これまではドライバーがドライバーを連れてきてくれるなど、求人する必要のなかった事業者でも人手が確保できないという。ある事業者では、「以前はドライバーの友人が働きたいと、トラックの空きができるのを待つ時代もあった」という。しかし、今はドライバーに頼んでも探すのが難しくなった。「ドライバーをやりたがらなくなった」のだという。

 ドライバーが友人に声を掛けた際、「時間は長いし、今は稼げないでしょ」との返答があったというが、まさに、これがトラック業界の置かれた現状だ。

 事業者がこぞって厳しい運賃競争をしている間に、そのしわ寄せが、労多くして益少なしという形で徐々にドライバーにも及んでいったのだ。昨日今日始まったのではなく、規制緩和以降、長い年月を経て出来上がってきたもの。それだけに深刻でもある。

 免許証1枚でできるという動機付けを失い、「稼げる」という魅力も失ってしまったトラックドライバー。さらに、若者の車離れが指摘されており、懸念材料は事欠かない。

 事業者同士がドライバーを奪い合う、人材確保競争がにわかに現実味を帯びてきている。事業者個々の努力もさることながら、業界全体での危機感の共有も不可欠だ。待遇を改善しても、ドライバーのなり手がいなければどうにもならない。業界に人が集まるための対策が急務だ。

(12/08/24)



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